阪神・ボーア、早くも崖っ縁　本職左翼のサンズが一塁守備、鳴尾浜で緊急テスト

　もう動いた。鉄が熱くならないうちに打った。メジャー通算９２本塁打というボーアの看板が傾きかけると、１軍滞在中の東京から５００キロ離れた鳴尾浜で“代役”が準備を始めた。開幕直前に打撃不振で２軍落ちしたばかりのサンズが、一塁の守備練習をした。平田２軍監督が話した。

　「レフトだけじゃなくて選択肢を増やそうというところですよ。内野に入れば体の切れも出るし、やっぱり上（１軍）がこうだから、何が起こるか分からんから」

　２３日のチームとしてのウエスタン開幕戦（対オリックス、甲子園）に向けた全体練習。球団史上初の屈辱となった巨人との開幕カード３連敗を受け、「一塁・サンズ」の可能性が浮上したことを明かした。

　「２戦目はファーストで使おうと思っている」

　２４日に“特効薬”を試す。風雲急を告げる動きにリンクするのは一塁専門のボーアの不振だ。

　ここまで１２打数無安打。開幕３戦目で早くも４番から６番に降格させられた。２死満塁の好機が３度もあり、対左腕からは来日後、ヒットなし。単独最下位の戦犯となったＢ砲はこの日、東京都内のホテルなどで静養に努めたが、その裏で崖っ縁に追い込まれた。

　サンズはメジャー時代、一塁を守ったことが２２試合ある。春季キャンプでも一塁に入ったことがあるが、本来は左翼や右翼を守り、昨季韓国キウムで打点王に輝いた打力を期待されていた。開幕直前の練習試合で２３打数４安打（打率・１７３）、１本塁打、１打点と落ち込み、開幕１軍メンバー漏れ。開幕３試合を終えた段階で、再びサンズの待望論が浮上するとは誰が想像しただろうか。

　投内連係で一塁に入ったサンズはＤ１位・西純（創志学園高）やＤ３位・及川（横浜高）にサインを教えてもらいながら一つ一つのプレーを念入りに確認。シートノックでは定位置の左翼でも受けたが、また一塁に戻って、ノックを受けた。

　平田２軍監督は「（サンズ）本人も（昇格が近づけば）モチベーションになる。なんとか上（１軍）にやりたいという気持ちが強いだろうから、選択肢を広げようということでね」という。前日２１日に４回５失点と崩れたガルシアが登録を抹消され、２４日にはガンケルが先発のため、登録される見通し。その内容次第ではサンズ昇格もある。

　開幕３連戦で打順を大きく変えたように、２年目を迎える矢野虎にセオリーはない。二の矢、三の矢を次々、放つ。その中に「一塁・サンズ」がある。３カ月遅れの開幕から、わずか４日で聖域はなくなった。急ピッチで緊急事態に備える。

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6/23(火) 5:00配信