日本シリーズ、２１日に大阪で開幕　オリックスファン複雑

生きているうちに

　「オリックスが京セラドームを本拠地にしてから、（同ドームでの）初めての日本シリーズが他の球団とは…」。オリックスファンが集う大阪市の韓国料理店「紅紅（べにべに）」などを経営する李賢一社長（５８）は声を落とす。

　現在のオリックス球団は、平成１６年にオリックスと近鉄が合併して誕生。大阪ドーム（現・京セラドーム大阪）を本拠地とした。一方、オリックスとしてリーグ優勝を果たしたのは、日本一に輝いた２４年前にさかのぼる。当時はイチローさん（４７）らが在籍し、阪神大震災からの復興を願って「がんばろう　ＫＯＢＥ」を掲げた。

　若手選手の奮闘の一方、近年のチームは低迷が続き、今シーズンも最下位。李社長は「成績も店の経営も、今年は厳しいシーズンだった」と表情は浮かない。

　球団合併以来のファンといい、例年は京セラドーム大阪で年間約４０試合を観戦する大阪府門真市の会社員、柿田幸佑喜（こうき）さん（２９）は訴える。「今年は強いチームにドームを譲る。でも来年、いやせめて生きているうちには、オリックスが日本シリーズに出るのを見たい」

燃える関西のＧ党

　異例のスケジュールの背景には、新型コロナウイルスで開催が延期された東京五輪などの影響がある。

　東京ドームで夏場に行われる社会人野球の都市対抗大会は当初、五輪の影響で日程が１１月２２日〜１２月３日に変更されていた。その上でプロ野球の開幕が６月に遅れ、日本シリーズの日程もずれ込んだ。こうした事情から東京ドームでのシリーズ開催は不可能となった。

　巨人が大阪で日本シリーズを戦うのは平成元年の近鉄戦以来だ。今年はソフトバンクと対戦する。昨年のシリーズで４連敗を喫した相手だけに、関西の巨人ファンも燃えている。

　巨人ファンが集まる串カツ店「中秀（なかひで）」（大阪府豊中市）。オーナーの米澤賢郎さん（８０）は「全国のファンから『チケットが手に入らなければ店で応援する』と連絡があった」と喜ぶ。

　今年は店内での大声での声援は禁じ、マスク着用も求める。しかし、ファンたちの気持ちを抑えることはできない。米澤さんは「いいかげん、日本一を取ってもらわんと」と話した。

https://www.sankei.com/west/news/201119/wst2011190016-n1.html